【学校公開のアンケート結果より】
〈6月12日(火)〉
6月1日(金)、2日(土)と実施いたしました学校公開に、両日合わせて388のご家族のご参加をいただきました。ご多用の中ご来校くださり、衷心より感謝申し上げます。
保護者の皆様から多数の貴重なご意見・ご要望を賜り、今後の本校の教育活動に役立ててまいる所存です。その中で、本校の授業の在り方が一方向的な講義型が多いことに関するご批判は、校長としても耳が痛いところです。
現在、教育改革が進行中ですが、その根本的な理念は先行き不透明な時代に必要な「生きる力」を、いかに子供たちに育成するかということです。従来の「知識・技能」優先の教育では、これからの時代を生き抜けない。それらを基盤として、「思考力・判断力・表現力」を習得させなければならない。正に、そのための授業形態がアクティブ・ラーニングであります。これは、次期学習指導要領のいわば目玉となっており、「主体的・対話的で深い学び」と表現されています。生徒が主体的に学ぶ、教師と生徒・生徒同士で対話をする、そのことで学びの深度を増す。
作家の井上ひさし氏が、教育について語った話があります。良い授業とは、「むずかしいことをやさしく やさしいことを深く 深いことを楽しく」するものである。この卓見は、教育の本質を表現していると思います。一方向的な授業は、多くの生徒に知識だけを注入するには適していても、21世紀を生きていく生徒たち一人ひとりを十分に伸ばすものではありません。
アクティブ・ラーニングの手法はたくさんありますが、方法論優先で形式化してもいけません。ベースとなる知識・技能をしっかり育てることも、やはりおろそかにはできません。大切なことは、生徒の疑問や意見の表明を保障すること、対話により議論を深化させることです。
詩人のまどみちお氏は、「人生で最も大切な物は?(疑問符)と!(感嘆符)だ。」と子どもたちに話しましたが、授業を通して生徒に?と!を育成することこそが主体性を育むものだと思います。また、小池都知事が使って話題となりましたが、哲学者ヘーゲルのアウフヘーベン(止揚)こそが議論(授業)を深める方法であると考えます。先生と生徒、あるいは生徒同士で意見を戦わせる。正論に対して反論(別の見方)があってこそ、議論(授業)が深まりを見せるのです。アクティブ・ラーニングの根本は、まどみちお氏とヘーゲルにあると、私は確信しています。
アクティブ・ラーニングの在り方については、各学校が喫緊の課題としているところですが、本校もしっかりと将来の動向を見据えて授業改善に努めてまいります。そのために、いち早くClassiや英語の4技能育成の「オンライン英会話」などを導入いたしました。現在、その有効的な利活用を進めております。
生徒一人ひとりの才能をしっかりと伸ばし、希望する進路を実現させることこそが、私たち山村学園高校全職員の願いです。そのためにも、保護者の皆様には、本校へのご支援とご協力を強くお願いするところです。